わたしがマイナーな イタリア語で歌う 動画をYoutubeにあげるのは何故か。
イタリア人からも日本人からも、何故イタリア語で歌って動画を上げるのかと問われる。
イタリア語というマイナーな言語を使うビジネス的な理由があるのか、というのがその主な質問だ。しかし、答えはビジネスのためではない。実は、イタリア語で歌うきっかけはニッチな需要の探求だった。
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日本人でありながらイタリア語で動画を上げ始めたきっかけ
イタリア語で歌った動画を上げ始めたのは、イタリアに留学していた頃。日本人がイタリア語で歌う需要はない。日本人が、ボカロやアニソンをカバーすることの需要があるのでは?と思い投稿しはじめた。
当時は2009年。ニコニコ動画が最盛期であり、私はニコニコ動画に見入っていた。自分では投稿などしていなかったが。しかし、イタリアに来て、何か日本とイタリアをミックスさせたことがやりたいと考えていた矢先、日本人がイタリア語で歌ってみたを上げることを検討し始めたのだ。
なぜイタリア語で歌う需要があったのか?
海外に行ったことのない日本人でも知っていると思うが、多くの外国人にとって、日本=アニメ、ゲーム、漫画の国である。
イタリアでも同様、日本=アニメ、ゲーム、漫画の国だという印象が根強いことを実感した。そして、日本はアニメみたいな高い声の、アニメみたいな格好した女性がいてラーメン屋がたくさんあるんだいいなーみたいなイメージが多少なりとも一般に浸透している。
そのため、日本人がイタリア語でアニソンやボカロをカバーすることには一定の需要があったのだ。そして後に、実際にイタリアのコミコン的なイベントに呼ばれるようにまでなる。
そういうところ、イタリア現地にて、日本人がアニソンやボカロを、イタリア語で、かつコスプレで歌うというのは、誰もが考えそうな分かりやすい需要であった。
しかし、誰もが考えることを、いつかやろうと思い巡らすのと、実際やってみるのとは別物。
イタリア人でやってる人は結構居るけれど、日本人は居ない。「やろうと思う」と言ったり書いたり日本人は結構見た覚えがあるが・・・。参考になる人は居なかった。
イタリア語の歌詞翻訳の難しさとは?
歌詞の翻訳というのはやってみると難しい。イタリア語で歌うこと自体も挑戦だったが、それ以上に難しかったのは歌詞の翻訳だ。文化的な背景や言葉のニュアンスを考慮しながら翻訳することは、単なる言語の置き換えとは違う。日本語の歌詞をイタリア語に変換するとき、単に言語を置き換えるだけではなく、文化や感覚の違いを理解し、伝えることが必要だ。
もちろん私が語学学校で時間にして300時間、期間にして4ヶ月で学んだイタリア語の基盤が相当薄っぺらいのも難易度を上げる要因になっていた。
馴染みのない例えやエピソードの置き換え
この知識不足にハードルをプラスするのは、そもそもの文化の違いからくるエピソード置き換えの必要があるの歌詞の世界。
例えば、イタリア語のネイティブスピーカーから指摘された点は、「イタリア語に翻訳されたフレーズがイメージを喚起しない」というものだった。つまり、言葉そのものだけでなく、その文化的な意味合いや背景も翻訳しなければならない。
西洋の言語から西洋の言語であれば、言葉という観点から見ても、カルチャーという点から見ても、ある程度シンプルかもしれない。
そういう事もわからずに、何がよく分かってないかわからずに、取り敢えず語呂や五感や、迷ったら超限定的な経験からくる勘でフレーズ書いて、歌っていた。
カルチャーの翻訳
そうして活動するうちに、聴くイタリア人も増え、指摘もされ始める。具体的にフレーズ別に問題点を解説してくたり提案したりする人も居るけれど、大抵は単純に曲単位で駄目だしするだけ。
そういうざっくりネガティブ評をくれたイタリア人のひとりが言ったこと。「フレーズ自体をイタリア語にした時に、イメージが沸かない」
そこで初めて気づいた。
言語的な正確さと共に重要なのが、カルチャーを翻訳すること。元の言語のフレーズが語る雰囲気とイメージとインパクト。それを置き換えるのであって、文章の意味をターゲット言語に置き換えるわけではない。
ターゲットが日本人からイタリア人に代わる。感じる側も置き換えられるのだ。
ネイティブの詩の世界に浸る必要性
ということで辿り着いたのが、メインストリームのイタリアン・ポップスに慣れ親しむこと。毎日Youtubeでイタリア語の再生回数が多いポップスをクリックしまくる。
とにかく聴きまくって、どんな表現してるのか感覚的に覚えたい。そういうポップスの歌詞をリスナーがどう思ってるのか、共感しているのか、それとも陳腐だと思っているのかYoutubeのコメントでチェックできる。
イタリアンポップスにハマった理由
というのをやっているうちに、なんだかイタリアンポップスにハマってしまった。いや、やっぱりアメリカやイギリスのポップスに比べたら歌謡曲ちっくでダッサイとは思う。時代と共に進化してる感じもあまり無いし。
でも、イタリア語はオペラだけじゃなくて、ポップスも合う。独特の雰囲気とリズムに、ハマる人はハマると思う。
特にハマったアーティストがAnnalisa。今や私の歌ってる動画は全部Annalisaの曲のボーカルカバー。
単純に、ハマって好きだから歌ってる。今ココ。
歌詞の翻訳がうまくなったかどうかは・・・不明である☆
もともと興味の全く無かったアニソン、もうイタリア語で歌ってないから。
目的が全く達成されないこの感じ。しかしながら、オタクのキモ粘着コメントに悩まされることも減り、この本末転倒な感じは私にとっては最良の結果となった。
イタリア語でYoutube上げてる日本人のチャンネル登録ぜひ
斯くして、日本に住む日本人なのに、イタリアの最新ポップスをカバーする変人としてYoutubeに上げる日々は続くはず。
聞く人に言わせると、発音や歌自体はどんどん良くなってるらしいので、成長記録としても、動画を通して見た目の劣化記録としても、意味をなしてくるに違いない。