サンレモ音楽祭2019 は2月5日から9日の5日間にわたって行われた。そして最終日に優勝者に選ばれたのは、Mahmood。観客(視聴者)の予想を大きく裏切る形になった。
エジプト人とイタリア人のハーフであるMahmoodが優勝したことが物議をかもしたが、それは別に観客が優勝者に対してケチをつけたいからではない。単純に、サンレモ音楽祭のシステムがおかしいことが明白になったから。そして、優勝決定が100%政治的な理由だったからである。
Content
サンレモ音楽祭2019 の投票結果
サンレモ音楽祭のランキング決定は投票によるもの。コンテストの審査員(いわゆる専門家やジャーナリストの部類)も投票するが、テレビを見ている視聴者も有料のテレヴォート(SMS投票)で票を投じることができる。
このテレヴォートが有料であるところがカギ。視聴者はわざわざお金を払って、気に入ったアーティストの曲に投票するのだが、今回のサンレモ音楽祭では視聴者投票が無視され、完全に審査員だけで選ばれた形になってしまった。それが不満の大きな原因だ。
一番人気はUltimo
視聴者投票の結果、トップはUltimoの「i tuoi particolari」だった。一方、Mahmoodは3位。これが僅差であれば文句も出なかったであろうが、3位は殆ど支持されていないと言っても過言ではなく、1位の半分以下という低い支持率だった。以下が視聴者投票の結果詳細だ。
1位:Ultimo 47 %
2位:Il Volo 39%
3位:Mahmood 14%
https://www.termometropolitico.it/media/2019/02/1549808790256_Risultati_Televoto_Sanremo_2019.pdf
お金を払う視聴者を無視 お金をもらう審査員を優遇
視聴者の怒りは優勝者に向いているのではない。ちなみにUltimoも相当怒っていた。彼らが怒っていた対象、それは記者(審査員)たちと記者を優遇するサンレモのシステム。
投票をするために、視聴者は毎回お金を支払っている。しかもRaiは日本でいうNHKと同じ国営局なので、視聴料が強制徴収されている。日本のように申込用紙を強制的に書かせるタイプではなく、有無を言わせず強制的に電気代と同じように引き落とされる税金のようなシステムである(苦笑)。
そんな視聴者のお金で成り立っている番組、コンテストでありながら、視聴者の投票は全く無視・・・。それどころか、視聴者の勝手に徴収される視聴料がギャラとして審査員に払われる・・・・。
このことに視聴者はキレているのである。
自分の意見は反映しないのに、お金だけはちゃっかり使われてしまっている。今の政治のシステムと全く同じか。
と思うが、それもそのはず、今回のサンレモは全く持って「政治的に正しい」を動機に審査員が優勝者を選出したと言われているのだ。
優勝のカギは「政治的に正しい」ゴリ押し
現在のイタリアの右派ポピュリズム政党「Lega」(同盟)を仕切る党首はSalvini(サルヴィーニ)。サルヴィーニは6月の連立政権誕生以来、副首相及び、内務相も務めているイタリア政府の重要人物。
しかしながら、サルヴィーニの頭の悪さというか、教育レベル/知的レベルの低さは発言や行動の一つ一つに顕著に表れており、ツイッターでのコメントがしばしば槍玉にあげられる。
今回のMahmoodの優勝は、左派による右派サルヴィーニ反対が要因なのではと言われている。
https://www.ilmessaggero.it/televisione/sanremo_2019_mahmood_voto_giuria-4291536.html
右派サルヴィーニの掲げる「移民反対」
移民はイタリアだけではなく、ヨーロッパ内での大きなテーマだ。
同盟のサルヴィーニは移民反対派。今回のサンレモの結果は、サルヴィーニへの反対意思を示す目的&人種差別をしない正しい選択をしている証明のため、ジャーナリスト陣がMahmoodに票を投じた結果だとされている。
ちなみにMahmoodは移民ではない。サルデーニャ出身のイタリア人女性と、エジプト人男性の間にミラノで生まれたイタリア人である。しかもエジプト人の父親は早くに家族を捨て去っているので、文化的にもほぼイタリア人。でも見た目が白いイタリア人じゃないからね・・・。
という、ほぼ間違った感じの差別感情をベースに政治的に正しく投じられた票。かなり曲がっている。
しかし、サルヴィーニも優勝結果に「あれがイタリアの音楽?」みたいなコメントを発する始末なので、反対の意図は十分伝わってるのか。
しかも、優勝したMahmoodもコメントの一言目に「100%イタリア人です」。音楽の話を一言もせずに・・・・。
とにかくしょうもない政治的に正しいが審査基準になった結果、議論になったのだ。
そういえば、こういうことは国際音楽コンテストでも起こったなー数年前に。2016年のEurovision(ユーロヴィジョン)だ。
2016ユーロヴィジョンのウクライナ対ロシア
ヨーロッパおよびEurovisionの放送権を買った国が参加できるソングコンテスト=Eurovision song contest。
この2016年大会で、まさかの不気味な音楽とは呼べないような全面メロディなくヒステリックに叫ぶ女性が優勝。FMで流れてきたら100人中100人チャンネルを変えてしまうような、信じられないような駄作。曲のタイトルは1944。ウクライナがロシアの侵略に対して歌った代物であった。
2016年、投票で1位を走っていたのはロシア。ポップでキャッチ―でステージパフォーマンスが良く練られた曲。それを勝たせまいと、ウクライナに投票・・・。政治的に正しい勝者が決定したのだ。
結論、人種差別してる
今回のサンレモの結果で、結局何がわかるのかといえば、それはイタリアが正真正銘「人種差別」大国であること。(もちろん日本も同類の人種差別大国だけど)
優勝に選んだ審査員たちも、音楽をベースにしているのではなく「人種差別」「移民」論争をテーマに投票している時点ですでに差別。見た目で差別している前提からスタート。
結局、自分たちはSalviniのようにおバカな保守派ではない事を示すために有色人種に投票。全くイタリア人の有色者にね。それって最終的には、めっちゃ人種主義者だ。
はい、そんなわけで、今回のサンレモ音楽祭は、イタリアの音楽界がいかに人種差別主義的かを証明する大会となったのでした。おしまい。